令和07年09月02日 記者会見要旨
問い合わせ番号:17581-9633-5973 更新日:2025年 9月 18日
市長定例記者会見
日時
令和7年9月2日(火) 午前11時00分~
場所
本庁6階 本部員会議室
出席者
報道機関
朝日新聞、伊勢新聞、NHK、CTY、中日新聞、日本経済新聞、毎日新聞、三重テレビ、(Youよっかいち)
市側
市長、赤堀環境政策課長、小川環境政策課係長、鈴木環境政策課主事、加藤広報マーケティング課長
発表事項1.J-クレジットを活用したCO₂削減プロジェクトの開始について
市長:環境先進都市四日市市を目指して新しい取り組みがスタートする。タイトルの通り、J-クレジットの制度を活用し、CO₂削減プロジェクトを進めていく。お配りした資料の通り、持続可能なまちづくりの実現に向けた包括連携協定を締結した東邦ガスと連携をし、J-クレジットの活用に取り組む。J-クレジット制度とは、CO₂排出削減量などを売買していく仕組みである。
本市は各家庭で「太陽光発電設備」や「家庭用燃料電池システム」を導入する際に補助金を出す「スマートシティ構築促進補助金」という補助金制度を設けている。今までは、導入時に四日市市からの補助金があり、各家庭でCO₂排出量が削減されるというものであったが、この削減量を取引できるのがJ-クレジット制度である。自治体の補助金制度を利用して家庭に導入された設備によるCO₂排出削減量を取りまとめ、その環境価値のJ-クレジット申請手続きを一括でしてくれるのが東邦ガスとなる。
各家庭でもJ-クレジット制度を申し込み、売買できる権利はあるが、市の補助金を使い、家庭で導入して見込まれるCO₂排出削減量から換算されるJ-クレジットは、年間数千円である。J-クレジットの申請にかかる費用が数十万円ということから、各家庭では、J-クレジット制度を活用しないと見据え、四日市市の補助金の効果ということで、本市にその権利を預けてもらい、その権利分のCO₂排出削減量を取りまとめて、東邦ガスが市全体のJ-クレジットとして、申請をしていく仕組みである。
申請後、クレジットが付与された場合は、クレジットの売買が行われる。
東邦ガスの手数料部分はあるが、基本的に売買した収益は市に返ってくる。これらを整理したものが、配布資料の下部表になる。表の一番左側の本市が補助金を出して、各家庭がCO₂排出を削減するというのが、従来の取り組みである。
今後は、表右側の今回のプロジェクトにより、本市の補助金を利用した市民へ、プロジェクトの参加依頼をし、東邦ガスのくらしカーボンニュートラルクラブ(くらしCNクラブ)へ各家庭が入会することで、各家庭が持っている権利、環境価値の譲渡が可能となり、東邦ガスが各家庭のCO₂排出削減量をJ-クレジット化する。
結果、本市にはJ-クレジットの収益が入り、脱炭素施策の財源が生まれ、各家庭は、環境価値を持っているものの、使えないCO2排出削減量を、地域に託してJ-クレジットとして活用され、地域の脱炭素への貢献につながる。
東邦ガスも、このJ-クレジット制度に取り組むことで、環境価値創造による企業価値の向上につながっていく。
本市が取り組んでいる四日市スマートシティ構築促進補助金は、大規模な補助金メニューで、三重県でも最大規模である。昨年度は、太陽光発電施設は350件、家庭用燃料電池システム(エネファーム)は88件の合計438件の補助件数であった。今年度も昨年と同様の規模で行っているため、同水準の補助件数になってくると思われる。
しかし、各家庭が持っている権利であるため、各家庭の取り組みをクレジット化するためには、それを本市に託していただかなければならない。補助金を受け取った各家庭にはできる限りくらしCNクラブへの入会をお願いしたい。
これからになるが、このクレジットの売買に関しては、市場で取引するケースや、各企業との相対での取引もある。本市の取り組みによるCO2排出削減量であるので、できれば地域内の企業にこのJ-クレジットを購入していただき、自社のCO2排出削減の取り組みにつなげてもらえれば、このエリアでの循環が生まれるということである。各家庭、各事業所に、しっかりと働きかけていきたいと考えている。
質疑応答
質問:このスキームは、四日市市と東邦ガスが一緒に考えたスキームなのか、東邦ガスが元々持っていたスキームで、各自治体に提携を持ちかけているものか。
市長:先進事例として、東邦ガスは各自治体と動き始めている。そのスキームにわれわれも参画する。
J-クレジットを取り扱う事業者はいくつかあり、種類ごとに取り扱っている事業者も違う。太陽光のみを取り扱う事業者は多いが、太陽光とエネファーム両方でのCO₂排出削減量を取り扱い、J-クレジット化する事業者は、この地域では東邦ガスだけとなる点から、東邦ガスと締結することとなった。
質問:東邦ガスとの包括連携協定をさかのぼって確認したところ、今年の3月であった。この協定が生きているということか。
市長:そのとおりである。
質問:スマートシティ構築促進補助金の現行制度について伺いたい。この補助金メニューを四日市市が設定したのはいつか。
回答:平成30年度である。(環境政策課)
質問:令和6年度の実績は太陽光発電が350件、エネファームが88件、補助メニューから考えて、これが昨年度の補助実績全部と捉えてよろしいか。
回答:他にも、補助メニューとして電気自動車の充電設備などあるが、J-クレジットで認められるものは、太陽光発電設備とエネファームである。(環境政策課)
質問:補助を受けた438件の補助額合計はいくらになるか。
回答:予算規模で答えさせていただくと、昨年度は約1億1,000万円の補助金規模になる。これは太陽光とエネファーム以外の補助額も含まれての合計額である。(環境政策課)
質問:算出が難しいかと思うが、J-クレジット化したときの実績を換算した場合の見込み額はいくらか。
回答:J-クレジットの権利を市へ委託することへ、賛同する家庭がどれくらいかによるが、配布資料A3見開き右側下の段のJ-クレジット1年間の創出量(参考)にあるように、例えば、再生可能エネルギー太陽光発電設備を導入した場合、1世帯において年間0.5~1tのCO₂排出削減効果があると考えられる。仮に1tと仮定すると、現在、市場価格は1t当たり約5,000円で取引されているため、仮に100世帯が賛同した場合、年間50万円、200世帯であれば年間100万円という見込みになる。(環境政策課)
質問:1t当たり5,000円は時価で変動するものなのか。
回答:そのとおりである。(環境政策課)
質問:プロジェクトの開始は、本日時点で、既に入会・登録した人の分から順次始まっていくのか。
回答:今年度、補助金を利用した人を対象に声掛けをしていく。今年度、既に設置した人へも遡って声掛けをしていきたい。(環境政策課)
質問:仮に、昨年度までに補助金を利用した人が、この後入会した場合は、プロジェクトの中に組み込まれるか。
回答:そのとおりである。(環境政策課)
質問:J-クレジットの認証はいつごろで、発行はいつごろを予定しているか。
回答:今年度設備を導入した人を対象にくらしCNクラブへ加入、J-クレジットの権利の譲渡をしていただき、その分をまとめて、J-クレジット化ができるのが来年度の後半ぐらいである。その後、販売や他の企業に買ってもらうなどの調整に入る予定である。(環境政策課)
質問:来年度の発行を目指しているのか。販売は、市が企業に相対で販売する想定か。
市長:どれくらいの量が集まるかにもよるが、多様な売り方が可能で、地域の企業に相対で買ってもらうケースや、市場を通して売るという方法もある。今後、しっかりと企業とも連携をとりながら、良い形を模索していきたい。
質問:初年度で、どの程度のCO₂排出削減量のまとまりを想定しているか。
回答:先ほど説明したように、今現在、対象としているのが、昨年度実績で、太陽光発電施設が350件、エネファームが88件である。同じように推移すると仮定すれば、1件当たり、年間のCO₂排出削減量の見込みが0.5tから1tなので、多く見積もって438件かける1tで、438tのCO₂排出削減量が見込めると考えている。(環境政策課)
質問:この438tがJ-クレジットの認証対象になるという見込みか。
回答:昨年度と同程度の申請があり、すべての人が賛同した場合の想定である。(環境政策課)
質問:これによって市に収益が入った場合、脱炭素の取り組みに使うということだが、具体的にどのような取り組みを想定しているか。
回答:一つは太陽光発電設備などの補助金への活用、また、CO₂排出削減のPRイベントなどにも使えるか、今後検討していきたい。(環境政策課)
質問:市民がくらしCNクラブに入会するには、入会費など必要か。
回答:入会費はかからない。(環境政策課)
その他
(M-1グランプリについて)
市長:発表項目ではないが、M-1グランプリに出場を表明して、活動を進めている。先般、太宰府市の市長が出場すると報道され、盛り上がってきている。関係者との調整で、私自身は9月21日に名古屋会場での出場になりそうだ。時間は1週間前にならないと確定はできない。
また、市主催ではないが、9月13日に、有志によるM-1グランプリの「三重県四日市を応援しよう」というイベントが商工会議所の第1ホールで6時半から、300人を無料で招待し開催される。当初から応援してもらっている有志が盛り上げようと開催するもので、よかったら取材していただきたい。
(三重県知事選挙について)
質問:選挙期間中の県知事選について、さまざまな議題が上がっているが、四日市市長としてどのような議論を求めたいか。
市長:知事選挙について、今の状況をつかめる状態ではないが、三重県下の四日市市であるから、しっかりと議論を重ねていただきたい。
質問:例えば、JR四日市駅前で進める大学構想など知事との協力も必要となると思うが、その点についてはどのようにお考えか。
市長:三重県自体が今後どういった形で発展・成長していくのかをしっかり語っていただける知事を望む。
三重県には、多様な産業、資源があるが、その中でも、四日市市をはじめとした北勢地域を中心としたものづくりは、三重県にとって非常に大きな産業の一つである。これをどのように支え、応援していくのかをしっかりとコントロールしていただける県政を望む。
そういう意味からも、大学設置は、産業振興・産業支援において大きな意味を持つことから、県、市が力を合わせた取り組みとしていきたい。
また、本市の中心市街地の再開発も、県の強みの一つにはなると考える。本市の開発状況を市だけのものではなく、県全体のメリットと捉えて、今後さまざまな活用、連携を図っていけるような県政を望んでいる。
質問:巷では盛り上がりに欠ける選挙ということで、投票率に関してはどうなるとみているか。
市長:私も、盛り上がりに欠けているとは感じている。知事選挙というのもあり、難しいのかもしれないが、選挙カーも1度も見ておらず、選挙期間中と感じることが少ない。我々も啓発をするべき立場であるので、努めてはいきたい。報道の皆さんにも、頑張っていただいて、投票率が少しでも上がればと思う。
各候補者がおのおのの主張をされているだけで、共通の争点がない点が盛り上がりに欠ける部分かもしれない。もう少し建設的な議論が生まれてくるといいのかもしれない。
質問:改めて、どのような点が争点になってほしいと考えるか。
市長:これからの三重県をどうしていくのかというところを私は重視したい。
県全体の成長の中で、四日市市だけが成長していくことはできない。本市がどういう役割を担っていくかが大事で、その役割を認識し、何が求められているのかを、市長として把握をしていきたい。オール三重県で、大きな目標に向かい、新しい4年間が始まるという希望のようなものを受け取れるような選挙であればいいと考える。
(大学の設置検討について)
質問:JR四日市駅前に公立大学を作る構想について、四日市市に新しい大学を作る意義を改めて伺いたい。
市長:少子化の時代に大学かという声があることは承知している。
我々が考える大学の設置には、さまざまな意義があるが、最も大きな意義は、産業振興である。四日市市はご存じの通り、ものづくりの町で多様な産業が集積している。基本的にどの自治体でも産業誘致には力を入れているが、その点では、本市はかなりの優位性があるのは間違いない。また、本市の税収面から考えても、産業から大きな恩恵を受けているのは事実である。
本市の行政を考えていく中で、産業振興は重要なものの一つであるが、これまでの産業振興の形は、投資してもらったところに補助金を出すというお金の支援がほとんどであった。これは全国どの自治体でも同様である。
これからは、人口減少社会で、企業は人材確保に苦慮している。そういった意味から、今後の産業振興は、地域で人材を育て、人材を確保することが重要になると考える。人が集まらないところに投資はしないという状況になってきていることから、人口減少をこのまま放っておくとジリ貧になっていく。
そこを打ち破って、人口減少だからこそ、ものづくりに関わる人材を集める仕組みを作っていかなければならないと考え、今回の大学はものづくりを重視し工学系をメインとしている。この新しい工学系大学と地域・地元にある多様な産業の事業所との連携を密にして、さまざまな実験や研究を本市の各事業所で実地勉強できる、四日市市をキャンパスとする、本市はそれが出来る街だと考える。
企業と距離の近い、今までにないような新しい大学を作っていくことで、この地域の産業は、より力強くなっていき、人を集められることによって、生き残っていけると考える。
無策のままでいくと、みんなと同じように苦しんでいく状況になる。そこに対する一手として大学は必要だと考えている。
質問:大学が仮に開設され、学生が来たとしても、東京や大阪に流出した場合、市内には恩恵がないと考えられるが、対策を何か考えているか。
市長:もちろんこの四日市市で学んだ学生が、すべて四日市市内に就職するとは限らない。それは、それぞれの意思なので、本市で働いてもいいし、日本の産業を育ててもらってもいいし、世界に羽ばたいてもらってもいい。
ただ、この四日市市で、企業と大学が思いを一つにして、共同の研究を行う中で、在学中に企業の人々と近い距離で連携をとることは大きな意義があり、ここにないよりはあった方が、四日市市に対する意識を持ってもらえる。ものづくりに関わる学生は、必ず増えると考えている。
質問:先ほどの市長のお考えだと、企業誘致もこの念頭にあり、人材育成、人口減少のある中で、大学があることによって、支援を促す、言ってみれば企業誘致となるが、卒業した学生が近場の企業に就職するロジックがないと企業が進出しても企業側にとってはメリットがないのではないか。どのような形で市内に立地してくれる企業に学生をつなぎ止めるのか。
市長:どちらかというと新しい産業誘致もあるが、今いる企業がしっかりと現体制を維持しながら、更なる投資をしてもらえるかどうか。そういった意味では、現在、市内に研究機能を持っている事業所があり、マザー工場化している企業もある。研究機能を置くということは、企業の中で、その事業所の優先順位は高いと考える。行政もしっかり支援していく姿勢を見せながら、学生と企業、大学と企業が新しい形で、さまざまな取り組みを進めていくことは、本社が東京の企業においてもインパクトはあるのではないかと考える。
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