令和6年2月 市長所信表明
問い合わせ番号:17083-1981-5066 更新日:2024年 2月 19日
ただいま上程されました各議案等のご説明を申し上げます前に、本年元日に発生し、石川県を中心に広く甚大な被害を及ぼした令和6年能登半島地震でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様方にお見舞いを申し上げます。
同じ中部圏に位置する本市といたしましても、市立四日市病院からの災害派遣医療チームをはじめ、消防士、保健師、土木技師、建築技師など全庁的に多くの職員を被災地に派遣しているほか、本市に避難された被災者の方々に対しては、市営住宅の無償提供や見舞金の給付を行うとともに、各種行政サービスに係る利用料等を減免するなど、引き続き最大限の支援を実施していきます。
また、震災を受け、市民の皆様の防災・減災への意識も高まっておりますので、引き続き災害に強いまちを目指して、取組を進めていきます。
それでは、今後の本市のまちづくりについて、私の所信を述べさせていただいたあと、議案等についてのご説明を申し上げます。
市民社会に大きな影響をもたらしたコロナ禍についても、昨年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが第5類に移行し、新たなフェーズに入ってきております。本市においても、市民の皆様が元気を取り戻し、笑顔で幸せに暮らすことのできる持続可能な都市を目指して、今後もオール四日市でまちづくりを進めてまいります。
令和6年度におきましては、戦後最大規模となる中心市街地再開発プロジェクトや持続可能なまちづくりを支える産業振興などを強力に推進してまいります。
中央通りにおいては三重県最大のバスターミナルとなるバスタ整備が本格化するなか、円形デッキや複合施設である新図書館の整備、公園の再整備に加え、港へアクセスする通路の整備や大学の設置など一体的な再編を行い、ニワミチ四日市をコンセプトに市民の皆様が集い交流の生まれる魅力的なまちなかを実現するべく着実に取組を進めていきます。また、本市の産業基盤である臨海部の石油化学コンビナートでは、「四日市コンビナートカーボンニュートラル化推進委員会」において、水素・アンモニアなど新エネルギーの拠点化やケミカルリサイクルなど具体的なプロジェクトを推進していきます。本市の産業と市民生活を支える四日市港では、新たな長期構想の策定や港湾計画の改訂が進められるなか、臨港道路霞4号幹線の南伸化や港まちづくりなどについても検討が始まっており、港と一体となったまちづくりに取り組んでいきます。これら、次世代につながり、未来を創る取組を力強く進めてまいります。
また、策定から4年が経過した四日市市総合計画については、社会情勢の変化を踏まえつつ、計画の前半5年間の取組や進捗状況を検証した上で、基本計画にあたる部分について見直しを行います。具体的には、後半5年間で推進する新たな重点的横断戦略プランを策定し、同時に、分野別基本政策についても必要に応じた見直しを行ってまいります。
それでは、総合計画に掲げる目指すべき4つの都市像に基づき、各分野において重点的に取り組んでいく政策や施策について、順に私の考えを述べさせていただきます。
将来都市像の1つ目は、充実した人生を歩むための基盤を育み、誰もが憧れる「子育て、教育安心都市」です。
国においては、昨年12月に「こども大綱」が決定され、子どもや若者が身体的、精神的、社会的に将来にわたって幸せな状態で生活を送ることができる「こどもまんなか社会」の実現を目指すために、基本的な方針が示されました。この大綱を踏まえ、本市においても、令和6年度中に四日市市こども計画を策定します。
今後も、妊娠前から、妊娠・出産、幼児期、学齢期へと続く一連の過程において、適切な教育・保育、保健、医療、療育、福祉を提供し、切れ目のない、包括的な支援を行ってまいります。
結婚を希望する独身の方を対象にした出逢いイベント、結婚祝い金の給付については継続して実施していくほか、不妊治療費の助成に関しては、助成回数を増やします。子ども医療費助成についても、本年9月から、その対象を現行の15歳年度末から18歳年度末まで広げ、子どもの疾病の早期発見と早期療養を促進するとともに子育て家庭の経済的負担の軽減を図っていきます。また、多胎児育児に伴う保護者負担を軽減するため、家事等の援助を受けた際の費用助成を新たに開始します。あわせて家庭におけるレスパイトケアをさらに促進するため、第2子以降子育てレスパイトケア事業のメニューに家事支援を追加して保護者の負担軽減を図っていきます。
また、引き続き保育士等の人材確保に努め、本年4月1日から育休退園制度を廃止します。子どもの居場所づくりの一環としては、夏休みなど長期の休み期間中においても学童保育所で児童を受け入れやすい体制整備を支援していきます。
就学前教育・保育施設については、私立の保育園・幼稚園における認定こども園化の相談に対する調整・協議を引き続き行うとともに、公立園については「四日市市認定こども園整備推進計画」に基づく認定こども園化を進めていきます。そのうち、園舎の老朽化に伴う施設の建て替え整備が必要な大矢知地区及び下野地区においては、新園舎整備に向けた土地調査や基本計画策定を進めます。
また、本年4月1日よりこども家庭総合支援拠点と子育て世代包括支援センターを統合し、「こども家庭センター」として位置づけ、全ての妊産婦、子育て家庭、子どもに対して、児童福祉と母子保健の一体的な相談支援体制の充実を図ります。
教育の分野では、教員不足が全国的な課題となっています。本市といたしましても、教員の働き方改革をさらに推進しつつ、これまで以上にICT機器やデジタル技術を活用することにより児童生徒の学習環境を整えるなどして、教員不足に対応してまいります。
具体的には、学習支援ソフトによる学習履歴や校務支援システム内にあるデータの見える化、デジタル採点システムの導入などを通して業務効率化を図り、教員が児童生徒と向き合う時間を創出していきます。
また、本市独自の学校業務アシスタントの全校配置の継続などの取組により教員の負担を軽減しつつ、生徒がスポーツ・文化芸術活動に継続して親しめる機会を確保するため、休日の部活動地域移行に関して、生徒の受入先調査、他自治体の事例調査、保護者や生徒の意向調査などを行い、本市独自のモデルケースを検討していきます。
小中学校の校舎等整備に関しましては、四日市市学校施設長寿命化計画に基づいて、校舎の防水や外壁改修、教室やトイレなどの改修を実施するほか、空調設備が未整備の特別教室への空調整備に着手するなど、着実に学習環境の充実に努めていきます。
また、老朽化が進む小中学校のプールについては、今後も、児童生徒に水泳に係る学びの機会を保障するべく、民間プール施設の試行的な利用を拡大するとともに、民間プール施設活用に係る運営方法や学校プールのあり方等についての検討を行います。
一方、本市の小中学校における不登校の発生率は、県内他市町と比較しても高くなっていることから、登校サポートセンターを核として、各校のふれあい教室での通級指導や相談、指導員による支援などを着実に実施します。校内ふれあい教室については、全中学校への設置に向け、令和7年度を目途に順次進めていきます。
令和4年度から導入したSNS相談アプリに関しては、いじめや友人関係、家族のこと等の相談件数が増加していることから、今後は学年を限定せず全小学生に対象を広げるなどして、児童生徒がより相談しやすい環境を整えてまいります。
次に、文化の分野においては、多様な文化財をまちづくりに活かしながら次世代へと継承していくために策定した「四日市市文化財保存活用地域計画」が国の認定を受けたことにより、国や県はもとより地域の皆様と一層の連携を図り、本計画に基づく施策を推進してまいります。
特に、文化財の保存と活用のランドマークともいえる、旧四郷村役場については、「近代産業発展の展示」などを充実させ、本年3月23日にリニューアルオープンします。開館記念コンサートなど様々なイベントを実施するほか、新1万円札の顔となる渋沢栄一とのゆかりある場としてPRに努め、関連する自治体との連携事業にも取り組んでいきます。
文化・芸術の振興に関しては、文化会館、三浜文化会館、茶室泗翠庵の3施設を一体とした新たな運営管理を行うことで、施設間の連携によるより効果的な事業展開を図るなど市民の皆様が文化芸術に触れたり参加したりする機会の充実に努めます。
スポーツの分野においては、令和6年がオリンピック開催年にあたり、本市においてもオリンピックで活躍が期待される体操競技の大規模大会を誘致していくほか、市民の皆様がスポーツに親しむためのきっかけ作りとして、好評を得ているスポーツ能力測定会及びスポーツ体験会等を継続して実施します。また、ランニング・イベントを開催して市民の走る機会を確保するとともに、より市民ニーズに即した形への展開に向けて検討を行います。
スポーツ施設に関しては、温水プールの建て替え工事に着手するほか、霞ケ浦第1野球場など老朽化した施設の整備を進め、四日市ドームについては長寿命化に向けて大規模改修に係る工事手法や施設の運営方法を検討していきます。
また、本市が有する観光資源のひとつである宮妻峡に関しては、市営宮妻峡ヒュッテを解体し、隣接するキャンプ場等を含めた再整備や運営手法などについて検討をしていくほか、四日市花火大会については、実行委員会を組織する関係者とともに、花火大会の再開を目指した試験的な打ち上げに取り組んでいきます。
将来都市像の2つ目は、東海地域をリードし、地域社会のイノベーションを誘発する「産業・交流拠点都市」です。本市の産業が競争力を確保し、持続的な発展を遂げていくため、企業の投資を引き続き促していきます。
本市の産業基盤である臨海部の石油化学コンビナートにおける水素・アンモニア供給基地の拠点整備に関しては、国による支援メニューを見据えながら、本市としての実現可能性を調査する費用について補助を拡大します。
また、コンビナートの操業環境を先進化させるため、今後も産学官で協力し、規制の合理化や申請手続の電子化などスマートコンビナートの実現を目指していきます。
地場産業や都市型産業などを対象としたじばさんを新たな産業拠点施設として整備するにあたり、基本計画に基づき、施設改修や運営業務委託に向けた詳細検討を行っていきます。加えて、当施設が事業者にとってより有益なものとなるよう、スキルアップ・リカレント教育やスタートアップ支援イベントを実施するなど、施設利用者の発掘や育成にもつながる具体的な取組にも先行して着手します。
また、物価高騰や人手不足に直面している中小企業に対しては、業務のDX化や生産性向上のため、従業員がIT関連の国家資格を取得する際に、新たに補助を行います。
農業の分野では、農業経営の多角化やビジネス化の推進に加え、持続可能な産地育成に取り組んでまいります。特に、本市の特産品である茶に関しては、意欲ある茶農家などとの議論を深め、作業の効率化等に資する農地の集積・集約化に加え、品種転換や茶以外の高収益作物への転換なども検討しながら、産地強化を図ります。
また、将来における地域農業のあり方や農地利用の姿を明確化する「地域計画」づくりを確実に進めるとともに、ライスセンターや茶工場などの生産加工施設を、地域の中核施設として再編する際に支援を行うなどして、地域全体で営農体制の再構築に取り組んでいきます。
四日市港につきましては、総合的な機能再編と機能強化を図るため、今後も四日市港管理組合を通じ、令和8年度の一部先行利用をめざして霞ケ浦地区北ふ頭81号岸壁の整備促進に努めます。一方、老朽化の著しい石原・塩浜地区の海岸保全施設については早急な対策が必要である上に、改良には高度な技術力を要し、事業規模も著しく大きくなることから、産業界とともに国直轄事業化に向けて取り組んでまいります。
また、四日市地区においては、市民が集い、交流できる「みなとまち」の実現を目指しています。引き続き、関係者と協力しながら、「BAURAミーティング」などのイベントを実施していくとともに、みなとまちづくりプランにおいて「ヒトの交流ゾーン」と位置付けられている納屋防災緑地や千歳運河などを含む一帯に関し、導線の確保をはじめとした整備の計画についてみなとまちづくり協議会で協議していきます。
続いて、交通・にぎわいの分野においては、中心市街地の活性化や、居心地がよく歩きたくなる魅力的なまちなかの実現に向け、中心市街地再開発プロジェクトをより一層推進してまいります。
中央通り再編事業においては、近鉄四日市駅西側の道路工事の完成に引き続き、近鉄四日市駅東側において本格化してきた国の直轄事業「バスタ四日市」の整備とも連携しながら、円形デッキの整備や国道1号からJR四日市駅にかけての道路工事を進め、中央通り全線において工事を進めていきます。
さらに、四日市市民公園や鵜の森公園の再整備を進めるとともに、国道1号からJR四日市駅にかけてPark-PFI制度を活用した公園整備に向け、民間事業者の公募を行います。
道路工事が完成する近鉄四日市駅西側では、先行して取り付けたAIカメラ等のスマート・インフラを通して取得するデータをデータプラットフォームに蓄積し、それらを活用できる仕組みを官民連携で構築するなど、実証実験等も踏まえながら中心市街地のスマート化への取組についても着実に進めていきます。
また、自動運転車両や新たなモビリティ導入については、中央通り再編事業完了後の実装に向けて、引き続き実証実験を進めます。
中心市街地の拠点のひとつである、滞在型の複合施設として整備する新図書館等については、市民の皆様の意見を反映させながら、現在、基本設計を取りまとめております。来年度早々には次のステップである実施設計に移行すべく、近鉄グループとの協議や、新図書館におけるサービスのあり方、運営方法などの検討を引き続き進めていきます。
JR四日市駅前に設置を検討している大学に関しては、今年度末までに策定する基本構想を受け、構想を具体化していくため、新たに大学構想推進室を設置し、設置主体を明らかにするとともに大学で養成する人物像、教育の特色、定員の考え方などについて検討を行い、基本計画を策定していきます。
また、中心市街地においては、エリアに関わる多様な人が集まって話し合うエリアプラットフォームと連携し、パブリック空間の活性化や賑わい創出にも取り組んでいます。中央通りの再編に伴う効果を中心市街地の周辺にも波及させるべく、今後も官民が連携して取組を進めます。
幹線道路の整備については、慢性的な渋滞を解消するため、垂坂1号線や泊小古曽線の整備を進めるとともに、渋滞ネック箇所の改良に向けて赤堀小生線や霞ヶ浦垂坂線などの改良に取り組んでいきます。
鉄道駅周辺環境の整備としては、阿倉川駅前広場の整備に加え、北楠駅と塩浜駅の駐輪場整備を進めていきます。
北勢バイパスについては、市道日永八郷線から国道477号バイパス間の、令和6年度中の供用開始に向けて取組を進めるとともに、北勢バイパス全線の早期完成に向け、関係機関とともに国への要望活動をくり返し行ってまいります。
また、公共交通ネットワークの維持を図るため、郊外部においては、こにゅうどうくんライナー、デマンドタクシーの運行継続に加え、市街化区域内の一部の公共交通不便地域において、AIを活用した乗合送迎サービス導入に向けて実証実験を行っていきます。一方、鉄道事業再構築実施計画に基づいて公有民営方式で事業を実施してきた、あすなろう鉄道に関しては、運行開始から10年を迎え、計画期間が満了することから、これまでの効果検証を行うとともに、令和7年度以降の次期10年間の運営計画の策定を行っていきます。
将来都市像の3つ目は、まちの未来を守り、将来の市民にバトンをつなぐ「環境・防災先進都市」です。
環境分野においては、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」の実現に向け、今後も、市民及び事業者の皆様と一体となって様々な取組を進め、持続可能な循環共生型の社会を目指してまいります。
このため、「省エネ」「創エネ」「蓄エネ」設備等の導入に対する補助を引き続き実施し、エネルギーマネジメントが高度化されたまちを構築してくほか、市内の中小企業における脱炭素への取組を促進するため、脱炭素経営セミナーを開催していくとともに、脱炭素経営に積極的に取り組もうとする中小企業をモデル企業として、アドバイザーを派遣するなどの伴走型支援を実施していきます。
また、公共施設においても積極的に温室効果ガスの削減に取り組んでいきます。その方策として、自治体新電力会社を新たに設立することにより、クリーンセンターで発電している低炭素電力を送電して利用していくとともに、公共施設等への太陽光パネルの設置やEV車等次世代自動車の導入などについても積極的に進めます。
藻場等の海洋生態系に取り込まれるブルーカーボンへの取組については、四日市港管理組合が実施する藻場再生等に向けた取組を促進していきます。
ごみの減量施策につきましては、ごみ処理基本計画改定に向けて、民間事業者と連携して廃プラスチック類の資源化について研究を行うとともに、食品ロス削減についても、より一層進めます。また、生ごみ処理機購入費補助金を拡充することで、家庭から排出される生ごみの量を減らしていくなど循環型社会の形成に取り組んでまいります。
また、クリーンセンターの稼働に伴い休止した北部清掃工場の解体に着手するとともに、跡地の一部に資源物等のストックヤード整備を行うための基本設計も実施していきます。
一方、自然共生サイトとして国の認定を受けた吉崎海岸については、シロチドリやハマニガナなどの希少な動植物の生息や繁殖が確認されています。今後も、市民の皆様を中心とした保全活動を支援することにより、生物多様性の維持に努めます。
水道事業につきましては、第3期水道施設整備計画に基づいて、経年管の更新を実施するとともに水管橋の耐震化を実施するなど、安全安心で良質な水道水の安定供給を行ってまいります。
また、下水道事業については、生活排水処理施設整備計画や雨水管理総合計画に基づき、計画的な整備を行っていきます。特に汚水管渠については、令和7年度の市街化区域における概成に向けて、着実に整備を進めます。
さらに、下水道施設に関しては、官民連携の裾野を拡大すべく、維持管理と更新が一体となったマネジメント方式である「ウォーターPPP」の導入に向けて、必要な調査を進めていきます。
次に、防災分野においては、本年1月に発生した能登半島地震を受け、市民の皆様の防災意識を一層高めていくため、防災・減災に関わる情報を的確かつ迅速に発信するなど更なる啓発に努め、災害に強く、災害対応力に優れたまちを目指してまいります。
能登半島地震の被害状況などを踏まえ、四日市市地域防災計画に基づく各種マニュアルや計画の内容について検証していきます。また、住宅等の耐震化やブロック塀の撤去等により力を入れて取り組んでいくほか、大規模盛土造成地についてはボーリング調査や地下水調査などを行い、滑動崩落に対する安全性の検証を行います。
地域防災力の向上のためには、地区の防災組織活動に対する補助を引き続き行っていくとともに、防災を日常的に考えることができるよう、全ての世代への効果的な防災教育と、防災大学の開講などにより防災人材の育成を推進していきます。
防災倉庫の備蓄品に関しては、物資備蓄・調達計画に基づいて、エアーマットや組立式給水タンクなどを追加配備し、災害発生時における避難所の生活環境の充実を図ります。
全国的に頻発している降雨による災害への対策につきましては、治水安全度の向上を図るため、準用河川などの整備・改修を進めるほか、市域における浸水リスクの高い場所をより詳細に把握し、より多くの雨量や水位などの情報を収集、提供できるよう、新たな観測地点の抽出やその監視手法などについて調査・研究を行っていきます。
消防分野では、消防車両更新計画に基づき、車両の着実な維持更新を図ってまいります。また、消防活動拠点の機能強化を図るために、令和6年度中に北西出張所を移転開設し、西南出張所については建築工事に着手するほか、本年5月にリニューアルオープンする予定の防災教育センターにおいては、VR等の最新技術を活用するなどして、市民の皆様が災害を身近に感じ、実践的な対応を学ぶことができる機会を提供していきます。
消防指令センターにおいて令和8年度から運用する新消防指令システムについては、更新工事に着手し、最先端技術を導入していきます。
将来都市像の4つ目は、本市に集まる人々の力を、まちづくりの原動力にする「健康・生活充実都市」です。
住環境の維持・向上を図るため、子育て・若年夫婦世帯に対して行ってきた住み替え支援については継続して実施するとともに、更なる空き家の活用に向けて、空き家の取得利用者などに対し、改修工事に係る費用の一部を新たに助成していきます。
一方、空き家の所有者に対する支援に関しても、空き家解体後の土地を空き地バンクに登録した場合の補助金交付や、空き家・空き地バンクに登録した場合の奨励金の交付に加えて、空き家の改修工事や家財等の処分に係る費用の一部を新しく助成していきます。
また、市街化調整区域の既存集落の維持・地域再生を図るため、空き家活用計画を策定した地域においても、地域の自然や農産物を活用した飲食店や農産物直売所、観光客の案内所や休憩施設等として空き家が利用できるよう取り組んでいくとともに、空き家に関する窓口を明確にするなど相談しやすい体制を整えてまいります。
中心市街地における客引き行為等の防止に関しては、啓発活動、指導員による巡視活動、行為対象者などに対する指導を行うなど、今後も、地元住民の皆様、警察との連携をさらに強化していくとともに、巡視活動の実効性を高めていく手法について検討するなど、市民の皆様が安心して通行できる快適な環境の確保に努めます。
市民の皆様に最も近い行政窓口であり、地域づくりの拠点である各地区市民センターについては、機能強化に向けた階段昇降機設置のほか、環境面への配慮及び災害時の備えとして、順次、公用車をEV車に転換していきます。
性別に関わらず誰もが働き続けられる環境づくりの推進にあたっては、企業や事業所におけるワーク・ライフ・バランスへの理解促進、またその実現に向けた取組が重要となってきます。本市においては、毎年度、「男女がいきいきと働き続けられる企業表彰」を実施しており、そうした企業との連携を一層強化して引き続き啓発活動を行っていくとともに、新たに表彰企業の取組をロールモデルとして広めていくイベントを実施していきます。
一方、超高齢社会や多死社会に対応した生活環境を確保していくために、終活についても新たに支援してまいります。墓じまい、相続、遺言状などに関する講座やセミナーを開催していくほか、ひとり暮らしで身寄りがない高齢者を対象に、終活全般に関する悩みなどを相談できる窓口を開設します。
また、火葬件数が増加傾向にある北大谷斎場につきましては、火葬炉及び制御機器等の周辺設備に関し、更新のための調査や基本設計を実施していきます。
続いて、健康や福祉の分野においては、すべての人や関係機関が互いに支え合い、多様性を尊重し合う地域共生社会の実現に向けて、高齢福祉、障害福祉、子育て、保健医療など各分野における施策を推進してまいります。
健康の分野では、歩く、からだを動かすといった健康づくりに親しむ機会を増やしていくとともに、がんや糖尿病などの生活習慣病予防に係る検診やこころの健康相談などを受けやすい体制を引き続き整備していきます。
また、加齢など免疫力の低下による帯状疱疹の発症や重症化を予防するため、帯状疱疹ワクチン接種費用の一部について助成を行っていくほか、介護保険の対象とならない若年がん患者の在宅療養支援として、患者と家族の負担軽減を図るため、訪問介護や福祉用具の貸与に係る費用について、新たに助成を実施します。
感染症への対応といたしましては、四日市市感染症予防計画を新たに策定し、新型コロナウイルス感染症への対応で判明した課題や教訓なども踏まえ、新たな感染症が発生した場合に備えて保健所の体制や関係機関との連携を強化していくとともに、まん延防止のための必要な施策を速やかに講じることができるようにしてまいります。また、移転を検討してきた衛生検査施設に関しては鈴鹿山麓リサーチパーク内での整備に向け、工事に着手します。
介護保険事業に関しては被保険者の負担軽減を図る一方、住み慣れた場所で健康で自分らしく暮らせるまちを実現していくため、重層的に高齢者を支える地域包括ケアの仕組みを充実させていきます。そのためには、在宅介護支援センターが地域の高齢者福祉の拠点として、介護予防の取組への支援や地域における助け合いなどに重要な役割を果たす必要がありますので、高齢者が多い地区における同センターの機能拡充に努めてまいります。
また、令和5年6月に成立した認知症基本法の趣旨を踏まえ、認知症の人が尊厳を保持しつつ、希望を持って暮らすことのできる、認知症フレンドリーなまちの実現を目指していきます。介護予防等拠点施設「ステップ四日市」で実施する事業の充実を図り、認知症の人やそのご家族の方の視点も重視しながら、地域における理解の促進、予防と早期診断、早期発見、早期対応の仕組みの充実、官民連携も含めた認知症バリアフリーの推進などに取り組みます。
また、老朽化が進んでいる共栄作業所やあさけワークスなどの障害福祉施設については、利用者の利便性向上及び機能強化を図るため、一体的に事業を行う多機能型施設として再整備を進めるよう基本構想を策定していきます。
市立四日市病院に関しては、目標耐用年数を迎える令和20年頃までは現在の病院施設において安全、安心な医療を提供していくため、引き続きインフラの経年劣化対策工事、入退院支援センターの設置、セキュリティ対策工事など大規模な施設改修事業を行ってまいります。
一方で、現在の病院施設の目標耐用年数が経過した後についても、切れ目なく病院を運営していく必要があることから、まずは現在地やその周辺地における病院施設の建て替えを想定した基礎調査や課題抽出などに着手していきます。
様々な政策や施策を展開していく上で基本となる都市経営の土台や共通課題についても取組を進めてまいります。
人権問題に関しては、今後も一人ひとりの人権意識をさらに高めていく必要があります。市民の皆様への人権に関する意識調査なども実施しながら、多様化・複雑化する人権課題の解決を目指していきます。
また、引き続き、全庁的に効果的なシティプロモーションも実施していきます。なかでも、期間限定販売を開始した、本市の地域ブランド「泗水十貨店」については、引き続き新たな商品を選定していくなど、令和7年度の正式販売に向けた取組を進めます。
ふるさと応援寄附金に関しては、積極的な取組を進めた結果、今年度の本市の寄附受入額は大幅に増加しております。今後も、効果的なPRの実施、ポータルサイトの追加開設、新規返礼品の開拓などを行い、寄附受入額の更なる拡大に努めていきます。
一方、迅速で効率的かつ質の高い行政サービスを提供するため、単純・反復作業が伴う事務の自動化を引き続き図っていくほか、生成AIを利用した資料作成を推進するとともにICT機器を活用した窓口支援ツールを導入するなど、市役所のスマート化を進めます。また、行政手続のオンライン化をはじめとした全庁的な窓口業務のDX化を強力に推進するため、行政DX推進室を新たに設置し、窓口業務の改善や行政手続の効率化などに取り組んでいきます。「書かない窓口」に関しては、一部の窓口で先行して実施します。
以上、総合計画に掲げる4つの都市像を実現していくため、令和6年度に推進していく政策や施策について述べてまいりました。これらの4つの都市像につきましては、総合計画の基本構想に掲げておりますので、今後も引き続き、実現に向けて取り組みを進めます。
令和6年度には、四日市市と楠町が合併し新たな四日市市となって20年の節目を迎えます。一方で、地方を取り巻く社会状況が大きく変わるなか、これまで以上に北勢地域5市5町との連携を強化し、協力しあうことにより、地域としてもさらに大きく成長していかなければなりません。本市が有する高いポテンシャルを今後も活かし、また、これまで述べてまいりました政策や施策を着実に実現させていくことにより、東海エリアにおける西の中枢都市として本市の存在感を高めてまいります。
皆様方には、格別のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、私の所信表明とさせていただきます。
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