奉納御座船模型

奉納御座船模型

奉納御座船模型

種別

四日市市指定有形民俗文化財

所在地

富田2丁目

所有者

鳥出神社

指定年月日

平成15年8月21日

解説

 鳥出神社には奉納御座船模型2隻存在します。1隻は長さ約199センチ、肩幅約33センチ、艫チリ幅約22センチの大きさです。船全体を朱(棚部分)と黒(加敷)の漆で彩色され、ゴシャクとカキダテには金箔を押し、水押には銅板の龍の彫物を施した全体的に豪華な体裁で、江戸時代に西国大名の水軍の所持していた海御座船の意匠をかなり正確に模したものです。現状では10丁の櫓を残しますが、本来は16丁程度あった可能性もあります。船体部分は全体を檜のくり船として制作し、これに必要な構造物をつけて装飾しています。
 もう1隻は長さ約182センチ、肩幅約43センチ、艫チリ幅約28センチの大きさです。この船も船全体を朱(棚部分)と黒(加敷)の漆で彩色されるものの、朱漆部分は一部塗替えによるためか部分的に色調が異なります。また、屋形部分には金箔が施されますが、精緻な彫刻を施した金具は見られません。オモテには大型の屋形が作られ、三つ巴紋を描いた幕を有します。全体の形状としては実際の御座船に比べると、ずんぐりとしてデフォルメされています。現状では8丁の櫓を残します。両者とも伊勢湾台風によりやや漆の剥落があります。制作年代は明確ではありませんが、前者の収納された箱には「天明元年八月吉日 藤原朝臣直紹所有」(1781)の銘があり、近世末期に遡るものと考えられます。
 神社仏閣に和船模型を奉納することは、日本海側を中心にまま見られるものの、そのほとんどは樽廻船や檜垣廻船に代表される千石船が多く、御座船模型の場合は珍しく、三重県内には、近世に遡る奉納御座船模型は他に見当たらず歴史的、文化財的価値は高いです。なお、鳥出神社は鯨船行事が伝承されている神社であり、この奉納御座船模型についても鯨船行事の発祥に関わるとする伝承があり、民俗学的にも価値が高いです。